大腸ポリープ
大腸管の内部の表面は粘膜で形成されています。大腸ポリープとは、この粘膜の最も浅い層の一部がイボ状に盛り上がった病変です。ほとんどはイボ状に盛り上がった形状ですが、なかにはキノコのように茎があるものや、平べったいものなども存在します。組織や構造によって、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに大別され、さらにいくつかの種類に細分化されます。
良性の大腸腺腫と悪性の大腸がんに分けられ、非腫瘍性ポリープは、炎症性ポリープ、過形成性ポリープ、過誤腫性ポリープに分けられます。非腫瘍性ポリープは、炎症や加齢が原因で生じるもので、巨大化していなければ治療は不要です。一方で、腫瘍性ポリープは、良性でも大腸がんに進行するリスクがあるため、お気を付けください。
大腸がん
はじめからがんとして生じる場合と、良性の腫瘍性ポリープ(大腸腺腫)ががん化する場合があります。ほとんどは後者のパターンで、巨大化すればするほどがん化リスクが上がります。そのため、がんに進行する恐れがある大腸腺腫を良性の段階で取り除くことで、大腸がんの発症を防ぐことが期待できます。
大腸ポリープの切除
内視鏡治療で切除できるポリープは、基本的に「径6mm以上の良性のポリープ」と「リンパ節転移している恐れが非常に少なく、内視鏡を使って一括で取り除けるがん」です。なお、径5mm以下の良性ポリープでも、凹んだ形状もしくは平べったい形状のもの、がんと鑑別しづらいものは内視鏡治療で切除できます。
コールドスネアポリペクトミー
サイズが10mm未満のポリープに対して行います。ポリープにスネアという金属製の輪を付けて締め付けて取り除きます。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
平べったいポリープや、コールドスネアポリペクトミーで取り除けないポリープに対して行います。粘膜の下に生理食塩水などの薬液を流し込み、ポリープ全体を浮かび上がらせてから、スネアを取り付けて高周波電流を流して取り除きます。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
巨大な病変や、薬液で病変を浮かび上がらせることができない場合などに行います。粘膜の下に生理食塩水などの薬液を流し込み、ポリープが生じている粘膜を浮かび上がらせて専用の電気メスで周りの粘膜を切開し、病変を徐々に剥がしながら取り除きます。
このような内視鏡手術で、大抵のポリープは取り除けますが、患者様の既往歴や進行の程度などによっては、開腹手術が必要になる場合もあります。
良性の腫瘍性ポリープである大腸腺腫は、放っておくと8割の確率で大腸がんに進行するとされています。年齢や健康診断の結果、お悩みの症状などをきっかけに、定期的に大腸カメラ検査を受けましょう。
大腸ポリープができやすい人・原因
食生活の関係
食生活の影響によって大腸ポリープや大腸がんの発生リスクが高まります。特に、肉食(特に加工肉や赤身の食べ過ぎ)や高カロリー食によって、大腸ポリープや大腸がんができやすくなります。一方で、野菜や食物繊維を豊富に含む食品は、大腸ポリープの発症防止が期待できます。
遺伝の関係
大腸ポリープと大腸がんは遺伝することがあります。ご家族や血縁者で大腸ポリープや大腸がんになった方がいらっしゃる場合、なるべく早めに大腸カメラ検査を受けることをお勧めします。
生活習慣の関係
大腸ポリープや大腸がんの発症を防ぐためには、お酒の飲み過ぎ、喫煙、肥満などリスクファクターを日頃から抑制することが大切です。また、こまめな運動も大腸ポリープや大腸がんを発症しづらくすることに繋がります。50代以上の方や、大腸がんの家族歴がある方はお気を付けください。食生活は先にご説明した通りですが、その他の生活習慣についても改善することが重要です。
大腸ポリープができた時の症状
発症初期の大腸がんは自覚症状が乏しいですが、ポリープが巨大化すると以下のような症状が起こる場合があります。
- 腹痛
- 血便
- 下痢
- 便秘
- 貧血
- 体重減少
など
大腸ポリープ切除後の食事・注意点
大腸ポリープ切除後から約1~2週間は、食事や日常生活にいくつか注意事項があります。
食事
- 1週間は消化しやすい食事を意識しましょう。
- 1週間は香辛料などの摂取は避けましょう。
- 1週間はお酒の飲み過ぎは避けましょう。
注意点
- 2~3日はシャワー程度で済ませ、長風呂やサウナは控えてください)
- 1週間はゴルフやジョギングなどの運動は控えてください。
- 1週間は旅行の予定を入れないようにしましょう。